"千尋の渓(たに)埋め尽す 綾錦 今日 わが岳人(とも)と癒されてゆく"
"光満ち 谷華やぎし 晩秋の 黒部川は 深々とゆく" 寿子
"紅葉の 下の廊下 かゞやけり" 万吏見
"紅葉の スリル満喫 下廊下"
"紅葉の V字峡谷 ひた歩く"
"冠雪の 白馬も見えて 下廊下" 田村 暢重
夜半の雨が少し残った早朝の安曇野は、大町に近づくにつれ、空も薄く明け始めました。天気がだんだん良くなる兆しです。扇沢駅は以外に人が少なく私達を迎えてくれました。
隊長松原繁氏、サブリーダー松澤寿子となっていますが、私のサブでは危ういと思われた隊長は、大町山の会現役のバリバリである久保田氏を隊長直下のサブとして連れてこられたのです。それで私もすっかり安心し、集金と支払い係に徹することが出来ました。
先週末に催行された時より、黒部の紅葉は色彩を増したようです。今回は13名の参加者を迎えました。扇沢発7:30分のトロリーバスに便乗し、旧日電歩道に入ります。トンネルを出た処で点呼をして出発です。今日も下の廊下は大勢の登山者が歩きそうです。
川床より少し上部の広場で隊長の心得が言い渡されます。「自分の体は自分で守ってください。」と強く言われ全員身を引き締めます。そしてお互いに自己紹介があり和やいだ雰囲気が醸し出されます。ほとんどの参加者は船窪小屋のお客様で、この登山教室は小屋のホームページか小屋の囲炉裏端で知った方々です。準備体操をしていよいよ出発です。小屋の常連河西さんも今回は彼女と共に参加してくれました。鳥居さんは苔玉博士です。その友人金子氏はずっと以前から参加したかったそうです。今日その想いが実現したと言うことで感激一入のようです。
平均年齢は60歳ほど、四国から参加されたT氏と私のほかKさんが平均年齢を引き上げているようです。隊長から立ち止まって厳重注意がありました。「紅葉の美しさに目を奪われ歩きながら、カメラを動かすケースが多く、それが墜落の原因になるので、必ず静止してから行動すること、ワイヤーにつかまり安全確認をしてから、カメラを操作すること。」とのことです。
先週の催行時より紅葉は一段と深みを増したようです。私も今回で六回目ですが歩きやすく紅葉の輝きも一番です。
メンバーのカメラを向ける回数が多くなりました。隊長も時々シャッターを切っています。対岸の岸壁は言うに及ばず、頭上に覆いかぶさる楓やななかまどの赤、?の葉の黄色、透明なうすみどり、複雑な色が織りなす様は表現しがたい位で、まさに綾錦の紅葉の渓谷に、我々はすっぽりと包まれて歩いているようです。今朝明け方まで雨が降っていた為か新越沢や鳴沢は豊富な水量の滝となって紅葉盛んな黒部渓谷に流れ落ち活力を与えてくれています。私の後方を歩いて居られる金子さんは、時々感嘆の声をあげ「夢のようだー!」と大いに喜び、嬉しさをかくしきれないようです。
今日この山行に参加させてもらえたことに感謝し、栂池の我が家で山行の無事を祈ってくれているお父さんにありがとう!と言いたい気持ちです。
私が槍ヶ岳山行のあと、すぐ下の廊下へ行こうかなと言った時、隊長は「そりゃ、ちょっと無理かもしれねえな。くたびれが抜けきらねえかもね。」と忠告してくれたものでした。しかし、槍からの帰途、飛騨沢を下り、栃尾荘にてのんびり湯につからせてもらえたことが、余り疲れを溜めずにすんだのかもしれません。
健康で元気に歩けることに感謝しながら、先をゆくT氏に後れまじとすたすた歩き、阿曽原小屋へPM4:00に到着しました。
佐々木ご夫妻にビールをもらい、温泉に浸かって夕食にカレーライスを頂いている頃、新潟地震のニュースを知りました。
震度七という大地震になり、今尚避難生活を強いられている方々、本当に大きな災害に遭われ、大変な想いをして居られる事でしょう。
私どものお客様の中にも新潟の方々がいっぱい居られます。何とか無事であってほしいと毎日祈っております。
下の廊下山行の詳細については、昨年同時期に娘の優子が参加しホームページに紀行文を載せていますのでご覧下さい。優子は今お腹に子どもを抱えており、来年二月節分の頃に出産予定です。